猫キャバ！

あなたは知っていますか？
猫の世界で語り継がれている猫寺の伝説を・・・。



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この世のどこかにある猫寺。

誰も知らない。

誰も行ったことがない。

本当にあるのか。

本当は無いのか。

それはまことしやかに囁かれる猫界の伝説。



ある日の猫集会にて。

「最近鈴木さんちのタマ見かけたかい？」

「いんや、そういえば全然見ないな」

「かれこれもう半年になるそうだぞ」

「完全室内飼いにされたんじゃないのか？」

「それがなぁ、今日鈴木さんの立ち話を偶然聞いたんだが、
本当にある日フッと帰ってこなくなったそうなんだ」

「まさか保健所じゃあるまいな」

「いやいや、鈴木さんもほうぼう手を尽くしたそうなんだが」

「手がかり無しか」

「あんなに大切に可愛がられていたのにな・・・」

「あぁ、『俺は本当にいい飼い主に恵まれた』って話してたっけ」

「そんなタマが自ら家を出るなんて」

「おい、まさか・・・」

「え？」

「例のアレ。アレを見つけたんじゃないのか？」

「アレってなんだよ？」

「猫寺だよ！　思いの強い者の前にだけ現れるという
猫寺への道しるべを見つけたんだよ」

「まさか！　アレは現実だっていうのか？」

「案外本当かもしれんぞ。
太古の大昔から俺ら猫の間では語り継がれている猫寺。
その猫寺にたどり着いた者が祠に入ると、
大切な人に再び出会うべく人間に生まれ変わるという・・・」

「その寺をタマは見つけたのか・・・」

「猫の時と同じ特徴を何かひとつ受け継いで人間に生まれ変わるそうだ。
もっともそれに飼い主が気づくかどうかはわからんし、
生まれ変わったほうも当然猫の記憶なんてありはしないんだが」

「タマ・・・会えるといいな。鈴木さんに」

「そうだな・・・」

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これは何年も前にインターネットを放浪していた時に、
偶然見つけたどこかのサイトに載っていた『猫寺』のお話なんです。
いなくなってしまった猫は実は猫寺に行ってて、
そこで人間になるという、ごく短い話だったのですが、
私が脚色してみました。

飼い猫ってある日ふと帰ってこなくなる子が多いんですよね。
本当に神隠しにでもあったかのように、忽然と姿を消し、
二度と家に戻って来ないんです。

だからその寂しさを埋めるために、
どこかの誰かさんがおとぎ話を作ったのじゃないかな。

それ以来このお話が忘れられず、
いなくなってしまったウチの猫さんも、
きっと猫寺を探し当てて人間になったんだろうなぁと
そう思っています。

いなくなってしまったあなたの大切な猫ちゃん。
いつの日かあなたの前に人間として現れるため、
猫寺への道程を歩いているのかもしれません。