猫キャバ！

錬金術は物質を理解・分解・再構築する科学なり。
されど万能の技にはあらず。
無から有を生ずること能（あた）はず。
何かを得ようと欲すれば必ず同等の対価を支払うものなり。
これすなわち錬金術の基本、等価交換なり。
錬金術師に禁忌（きんき）あり。其（そ）は人体錬成なり。
これ何人（なんぴと）とも犯すことなかれ。

主要人物の一人であるスカーの登場。
今回のエピソードであるニーナの事件は、この後ずっと兄弟の心に暗い影を落としていく。

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第04話 錬金術師の苦悩

アメストリス国の首都、セントラルシティ。 この街では最近、国家錬金術師ばかりが殺されるという事件が相次いでいた。 この日は鉄血の錬金術師バスク・グラン准将が殺害された。 しかも兵器錬成と軍隊格闘の第一人者の国家錬金術師である。この凄腕の准将が殺されたとなると、犯人は相当の手だれであることは想像にかたくなかった。 その頃東部では、リオールから戻ったエルリック兄弟が東方司令部のマスタング大佐のもとを訪ね、レト教の一件を報告していた。 賢者の石は偽物だったが、その強大な力やバカでかい合成獣（キメラ）の錬成など、底力は十分にあった物だった。 「生体錬成はよくわからないが、体を取り戻す助けになるのではないか」という兄弟の言葉を受け、大佐はイーストシティに住んでいる綴命（ていめい）の錬金術師ショウ・タッカーという国家錬金術師を紹介する。 タッカーは２年前に人語を話す合成獣を錬成したことで国家錬金術師の資格を得ており、巷では「合成獣の権威」と呼ばれていた。 タッカーの研究を見せて欲しいと頼む兄弟を快く許すタッカー。 兄弟はその日からタッカー家へ毎日通い、生体錬成の研究書を読み漁る日々が続いた。 タッカーには一人娘のニーナという子供がいた。 最近は国家錬金術師の査定を前にして、父親が部屋に篭りっぱなしなので寂しいという。 同じく錬金術師の父親を持つエドとアルは、やはり研究に没頭するあまり父親にかまってもらえなかった自分たちをニーナに重ねて同情するのだった。 研究書を読む合間にニーナと愛犬アレキサンダーと遊ぶ兄弟。年相応の子供に戻るめずらしく楽しい時間をタッカー家で過ごしていた。 一方、査定を前に次第に落ち込んでいくタッカー。 その様子の変化に誰も気づく者はいなかった。 今にも雨粒が落ちてきそうなある日。 いつものようにタッカー家を訪れた兄弟は、我が目を疑った。 そこにいたのはタッカーによって錬成されたニーナと犬のアレキサンダーの合成獣だった！ 数年前に家を出て行ってしまったというタッカーの妻も、実はタッカーによって２年前に合成獣にされていた。 その合成獣によってタッカーは国家錬金術師の資格を取っていたのだ。 ニーナはもう元に戻らない。 たった一人の女の子さえ助けてやれないちっぽけな人間だと、エドは無力感に苛まれるのであった。

みどころ

・仕事嫌いの大佐？
大佐がサボっていたせいで書類が山積となり、ブレダやハボックがぶつぶつ文句を言っている。
どうやら大佐はペーパーワークより現場第一主義のようである。

・エドと大佐
実は似たもの同士の２人。
同類嫌悪とでもいうのか、エドは大佐のことを「いけ好かない野郎」と思っていて、
それが態度に出ている。
大佐もエドに対しては皮肉や嫌味で応酬。しかし兄弟が体を取り戻すための助力は
惜しまないようで、何かと力になっている。
ショウ・タッカーを紹介したのもそんな理由である。

・恨まれる国家錬金術師
錬金術という技術は誰しもが会得できるわけではない。
まして国家錬金術師ともなれば莫大な報酬が約束され、これをうらやむ者も多い。
しかし一方では恨みを覚える者も存在する。
かのイシュヴァールの内乱では、思いのほか長引く戦争に業を煮やしたブラッドレイ大総統が
大量の国家錬金術師を投入した。
絶大な破壊力を誇る国家錬金術師たちは瞬く間に戦局をひっくり返し、
国内の内乱とは思えぬほどの殲滅ぶりであった。
そのため国家錬金術師を恨みに思っているイシュヴァール人は多いのである。

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